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12-28-00

「ヘーゲルによれば、国家は一人ひとりの市民より以上のものであり、国家はすべての市民をあわせたより以上のものだ。ヘーゲルは、社会からエスケープするなんてできないと考えていた。自分が生きている社会に背を向けて、社会よりも自分自身を見つけようとする人間は、ヘーゲルからすれば愚かということ」

どうしよっか。

  12-27-00
  12-26-00 
 

12-25-00 「昨日は疲れた。トナカイは言うこときかないし、起きてる子供はいるし、BSアンテナでズボンが破けた。」

  12-24-00 ひとりで教会に行く。真夜中のミサ。いつものクリスマス。joy to the world....
  12-23-00 「イブはなにしてるの?」もう予定が入ってるからダメなの。嘘ばっか言ってた。
  12-22-00 
  12-21-00 一日中、家の中。パスカルみたいな気持ちにはなれないと思う。寝たきりで考えてばかりなんていやだ。走って泳いでスキップして忘れるほうがいい。
  12-20-00 ヒスローが迎えにきた。帰って部屋のベッドに倒れた。まだ聞こえる。ネムレネムレネムレ
  12-19-00
  12-18-00
  12-17-00
 
12-16-00
突然だった。自分の痛みなのかわからなかった。
恵比寿の路上でしゃがみこんで気を失って、目が覚めたら、僕は救急車に運ばれて、真夜中の救急病院のベッドの上にいた。
「過労」らしい。 胃が痙攣の後でひくひくしているのがわかる。
手の甲に点滴の針が刺さっていた。
ポタポタポタポタと僕に流れてくる薬の雫を見ていた。
ネムレネムレネムレネムレ
考えるな。なにも考えるな。なにもかもオマエにはどうしようもできないこと。オマエになにができる。ネムレネムレネムレポタポタポタポタ
  12-15-00
  12-14-00
  12-13-00
  12-12-00
  12-11-00
  12-10-00 耳を傾けるな。耳を傾けないことだ。パワーは自分の心の中にあるのだから。
  12-09-00 
  12-08-00 
12-07-00 刑事さんからケイタイに電話。僕と父の血液型を聞かれた。父のは知らない。義母弟の勤めるお寺の電話番号と弟のケイタイの番号を聞かれた。まだ逮捕できていないと聞かされた。
12-06-00 ■■■署の刑事さんから電話がきてたとお母さんに知らされる。
12-05-00
東京へ戻る。長いドライブで、そのうちに、助手席から寝息が聞こえてくると、 自分を責めて死のうとしたそんなこのコの気持ちを拝みたいような気持ちになる。
「悪いのは自分だ。自分は汚いんだ。自分はダメだ。」
そんなふうに思いつめられると、なんだか僕は人のせいにばかりしているんじゃないかと思えてくる。
自分自身でつくりあげた牢獄の中で人は一生を過ごす。
誰も悪くもないし、正しくもない。
12-04-00

東京に帰りたがらない。電話にも出たがらない。僕はあちこちに電話を入れる。
本当は生きることも死ぬこともどちらでもいいんだと知っている。
それが君の運命ならそうなるんだ。


そしてどちらにしても、
僕らはいずれ死ぬんだ。


どうやってくくりつけたのか、ここに来た時に天井からぶらさがってたゴムホースに僕もぶらさがってみる。ゴムのすごい力で天井に持ち上げられて、少し腕を痛めた。
「怖くて首を吊れなくて、それで薬でラリってから吊ろうと思った」とあのコが話す。もしも死んでしまった後に僕がここに到着していたら、ゴムホースにぶらさがったなにを見たのだろうと思う。
どの時点で人は死ぬのだろう。ホースに首を閉められた時。彼女が傷付いた瞬間。涙があふれた時?あんな遺書を書いている時はもう死んでいるのか。

12-03-00
ストーブに入ってる灯油が切れた。ふもとまで運転して、買い物に行った。 あったまりそうな食べ物と、水を買ってきた。泣いてばかり。起きていてもすぐ寝てしまうみたい。病院には行かないと言う。僕はただ寝顔を見てる。口移しでポカリを飲ませ続けた。
12-02-00
東京にはまだ帰らない。
バカが泣いてばかりいるから、まりあまで泣いてしまう。
12-01-00

「自分が悪いから」って、死ぬ なんて思わなくたっていいのに。
とにかく車をすっ飛ばして、長野に向かったけど、「バカ」だとか、「弱虫」とかまるで悪口ばかり頭に浮かんでた。
雪で道が凍っているような山道をあんな僕のオフロード向きじゃない車で登って、山小屋のドアを開けたら、あのコは薬の箱を散らかして床に倒れていた。 肩の辺りを足で少し蹴飛ばしてみたら、目を開けた。
「なにやってんの。」
あんな電話を朝からもらったら誰だって心配するよ。しかも着信はこの山小屋の番号だったし。こんなところにこんな季節に一人できちゃって。
「薬はどのくらい飲んだ」
「わかんない」
「おいで。吐きな」
「起きあがれない」
ふと見ると、天井からゴムホースが複雑な結び方でぶら下がってる。そばには遺書まで置いてあった。あーあ。 死のうなんて、なんて純粋でずるくて馬鹿げた考え方をするんだろうと思った。抱きしめたくなった。

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