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音楽なんてちゃちなものでなにをしようっていうの
miku


03-31-00 FRIDAY
03-30-00 THURSDAY
03-29-00 WEDNESDAY
03-28-00 TUESDAY
親父のことを頼んでいた弁護士から電話。動きの報告。その電話で目が覚めた。11時くらいだった。まだ朝。
もしかしたらあとになって、「やっぱり■■■を空港に迎えに行けばよかった」と思うかもしれないし、■■■が成田から「着いた」と電話をかけてきて、それから彼がタクシーに乗って、高速にのって、首都高に乗って、■■■が六本木に本当に着くまでの1時間とか2時間が宇宙飛行をしているくらいに長く感じられて、まりあがまたヒステリックに泣き出したり、イライラするのではないかと----その可能性についても考慮して、気がむいたら成田へ向かうことが出来るように、目覚まし時計を10時にセットしておいたのだ。■■■の乗った飛行機が成田に14時頃に到着すると----何度も----聞いていたから、車を走らせて行って、それに間に合うように。
だけどそれは間違っていた。まりあは六本木から走り出して成田空港にたどり着くのに2、3時間はかかるのだろうと予想していた。まりあは道順も、どの高速道路を選ぶべきかも、だいたい空港の地理的な所在地さえも知らなかった----それは実際には1時間程度を要する道のりだった。ただし■■■への想いを胸いっぱいにつめたまりあが時速200キロでロケットみたいにつき進んだ場合には。
だけど、目覚まし時計は鳴らなかった。どちらにしてもまりあは迎えに出かけるには間に合う時間に、午前11時に、目が覚めた。
だけど目覚まし時計は鳴らなかったのだ。
まりあは夢をみていた。まりあはサーカス団の一員で、ライオンや像やサルがいて、そしてまりあがいて。
まりあは人間。つまりサーカス団の一員というよりも、まりあはサーカスで飼われているのである。
スポットライトやクルクル回るミラーボールが輝く中で、まりあは、仲間の動物達と一緒に芸をする。飛んだり、立ったり、逆立ちしたり。
あたたかい拍手があって、合間にもらえるストロベリーチョコがあって。
絵本をめくるみたいに夢中になって、楽しい時間を過ごしている。
だけどいつしかショーは終わり、幕が閉じ、ライトが落ちて、ライオンと像とサルとまりあ達は暗い寝床へ連れていかれる。寝床へ入る前に決まった場所で用を済ませておくように命じられる。タキシードを着て背高帽をかぶったやせた男がまりあをその場所へ----つまりトイレへ----連れていく。まりあがちゃんとお腹の中の尿なり便なりを全部だしてしまったか、その男は確認しているのだけれど、だけど、でないのだ。サーカス団の男がまりあを急かす。だけど、力をいれてみても、向きを変えてみても、一滴の尿もなにもでないのだ。
他の仲間達はさっさと用を済ませて、めいめいのオリの中へはいって、目を閉じている。まりあひとりが排尿できないばかりに、オリに戻してもらって休むことも出来ずにトイレに立たされている。タキシードのやせた団員が、イライラしながら隣で足をならしている。
空港へ行こうかどうか迷ったのは10分位だったと思う。いや、そのことに考えが及ぶ前に、起きてすぐに、もらしてはいないかと下着を確かめた。どうにもなっていなかったけれど、とにかくトイレに行った。一、二滴、ホステスのお愛想みたいにポタポタと便器の中に落ちた。それだけだった。どうして起き上がってトイレになんて来たのだろうと思った。
どうして誰かを迎えに行こうなんて思ったのだろう。
もう一度いっしょになる?どうしてそんな考えを受け入れようとしたのだろう。
まりあは■■■が思っているほど、多重人格障害の症状は軽くはなっていないし、様々な状況はますますひどくなっているんだ。

最近、チェスで続けて勝ったりする。
AKIO氏にMDを送って、それからどうするんだっけとわからなくなったりする。
体重の1グラムの変化、彼女のきつい香水。彼の臭い息。僕は匂いにとても敏感なんだ。片目につけたコンタクトレンズ。食べ残しの皿。だ液のついたフォーク。フォーク。フォーク。突き刺すんだ。だ液についても僕はひどく過敏なんだ。だ液が顔から流れ出るのを押さえているくちびる。耐えられない。耐えられない。僕はキスをしたことがない。ソファの中の虫。バーを横切る幽霊。電話にでようと掴むたびにぐにゃりと曲ってしまうケイタイ。
駐車場まで走って、エンジンをかけて、まりあのギターを1本置いてる友達の部屋に行って、ケイタイの音を切った。

03-27-00 MONDAY
■■■の曲を聞きながらタイプを続ける。5、6行書いて、やはりそれが、まりあの顔の表面でじっと動かない、羽ばたき一つしない虫のようだったとしても----”音楽”を聞く----という行為とか、なにかの行為と同時にストーリーの続きを書くというのは出来ないなと思う。
朝の9時とか10時くらいに■■■から電話があったはず。薬を飲んで寝ていたので、それに夜はヴァン・ノルデンのように----感情のはけ口をどこに持ってゆけばいいのかわからないでいた----ので、カルヴァドスを飲んでいたから、朝の9時とか10時のような、働き者のために陽が差し込んでいるような時間には、まりあは死んでるみたいになってて、■■■が電話のむこうで、国際電話のノイズ越しに話す言葉に弱々しくしがみついては谷底へ落ちていくということの繰返しだった。
「お昼くらいの飛行機に乗って、日本時間で明日の14時くらいに成田に到着する」ということを■■■は、繰返し何度も同じ日にち同じ時間を言って、まりあも繰返し何度も同じ日にち同じ時間を質問していたように思う。もう今日と明日のことなのに!
不安は二人の中で同じようにあるのかもしれない。
それから、■■■のコンドミニアムから、空港まで車で向かうのだけど、なにかの都合で、朝8時に部屋を出なくちゃならないとか、そういうことを言ってた。
■■■のことは好きじゃないんじゃないかと思う。
一体どこが好きだというんだろう。なにを気にしていたのだったっけ。朝8時に車に乗り込む■■■のことを考えるとあっという間に発狂しそうな感覚に襲われる。
03-26-00 SUNDAY
03-25-00 SATURDAY
17時くらいに■■■に電話をした。むこうは朝四時くらい。「起きてたよ」って言ってたけど、ちょっと寝ぼけてたみたい。ああ、でも■■■はいつも少し寝ぼけてるみたいな感じがするから、わかんない。普通だったのかも。通常通り。
明日の飛行機に乗って、日本時間の明後日の14時くらいに成田に着くという。だけどそのことについてまりあは少し戸惑っている。たぶん。確実に。
■■■と暮らすこと。大好きな人をずっと好きでいること。■■■という男を大切にすること。それはまりあが心の奥底で本当には求めていることだった。
あんな父親に犯られて、逃げ出して、またお父さんに犯られて。そんなことから離れられない自分への怒りを、出会う男達みんなにぶつけているように、まるで男を憎むように、その関係を傷つけたり、ぶち壊したりしてきた。■■■とのことは慎重になりたい。まりあの育てられうる優しさというものが、どんな形でどんな大きなものか、いっぱい体感してみたいと思う。
愛されたくって、そしてそれを確かめたくって、考えつく限りのわがままを言って、まりあに近づいてくる人達を困らせてばかりいた事を思い出す。その時は困った顔を見て安心したりもしていた。
子供じみたゲームだった。さびしい子供。
■■■は日本に戻ったら、音楽を再開するんだろう。さっきの電話で■■■はまりあにも音楽の仕事を続けて欲しいみたいに言ってる感じがした。直感的にではないけれど、言葉のはしはしで。まりあは音楽の仕事を特別に楽しく思っているわけじゃあないのに、■■■にはわからないのだろうか。スタジオの中に長時間閉じこもることが苦痛だとかそんなふうに思ったことはないし、曲が出来上がることに満足感を覚えたりすることもあるから、音楽の仕事が全く楽しくないというと違うのだろうけど、でも、まりあはいつだって----■■■と一緒にいる時だってそうだったのに、----気紛れにしか、極たまにしか音楽を好んで聞いたりしないのに、■■■は気づいてないのかな。そのことに。
父親から、病院生活から、砂漠みたいに広がっていく心の乾いた部分から、太陽から、友達から、空腹から、----生きるべきすべての理由から逃れるために、ギターを弾いていたんだ。それら全部を忘れるために。大きなノイズを鳴らして、頭の中になんの感情もはいりこまないように。生きてても死んでてもいいように。
まりあが心に秘めた本当に欲しいものが見つかった時に、そんなこともヤメかなって思ってたんだ。あとはミネラルウォーターとクスリを買うお金が欲しい。
あ。著作権協会に返信を出すのを忘れている。明日中にはポストに入れよう。こうやっていつもインゼイの入ってくるのが遅れる。
■■■が帰ってくる。■■■ガカエッテクル。■■■が六本木に戻ってくる。■■■が帰ってくる。
一年間もいなくなるなんて計画をたてて、ひとりで外国になんて行っちゃうものだから、まりあは■■■の不在のこの先長い一年を思って貧血みたいになってたけれど、今度は■■■が帰ってくることに緊張している。つまりまりあはなんだろう。順応性がよくないという事なのかな。環境の変化にいちいちつま先がしびれてきて心臓がドキドキする。今は■■■の笑顔を思っていよう。

南の島にバケーションに行った時の写真をひっぱりだして見ていた。どうして泣いたりしたんだろう。

03-24-00 FRIDAY/運命の人 /ケース1
上機嫌でロイのバーで飲む。僕がどうして今日、上機嫌でロイのバーで飲んでいるのか知らない。知らない人がカミカゼを一杯くれる。スウェーデンに帰国してるオッドが入院したと聞く。マリアハゲンキソウネ。そういつだって、まりあは元気そう。

道で運命の人に会ったとする。それは完璧な相手で、二人の頼り無い直感が全力をふりしぼって、それは運命の人だと決定する。
話しかけて、電話番号を交換して、その日のうちに電話をかけてデートの約束をする。
運命の相手とのデートなのだから、彼女は激しく緊張して、一番好きなシャツを着て出かける。
運命の彼も、激しく緊張して、普段とはまったく違う格好をしてやってくる。
うまく話せない。顔が見れない。出会った時はお互いを確かめあうようにじっと見つめあったのに。運命の相手だとわかってしまってからは緊張して目をそらしてしまう。僕らは運命などというものをどう扱ったらいいのかまるでわからないのだ。
僕たちの運命はそこで終わる。
もう電話もかけない。次に会う約束もできない。
そのうちに、お互いまあまあの彼女と彼氏ができて、それからようやく運命の二人は会って話すことができるようになる。見つめあうこともできる。二人のあいだに距離があるからだ。
まあまあの彼はときめくことはないけれど日曜日に聞く音楽の趣味があった。まあまあの彼女はときめくことはないけれど料理が上手だった。
運命の外側にある感情や欲望の波に、僕らの人生がさらわれてしまった時、そこでようやく運命はもとのガラスケースに入り波の上にぷっかり浮かび、僕らはそれを外側から眺めることができる。
そうしないと落ち着かないんだ。
そう勇気がないんだ。

じゃあ、彼らの本当の運命の相手は誰だったんだろう。

03-23-00 THURSDAY/正常/異常
一日経過してた。なにしてたんだろう。それでも赤の鍵つきノートを見て確かめようとはしなかった。
他の人格が。ユリが。ミクが。エリが。そういうことをもう考えたくない。先生の顔ももう見たくない。こんなことで誰かを傷つけるのはもううんざりだ。僕の目の前で泣き出されると逃げ出したくなるんだ。わるかった、わるかった、わるかったよ。
たまたま忘れながら過ごしていただけ、こんなことなにかの障害でもなんでもないんだろう。僕はここにずっといたんだろう。

裁判所でまたテストをされたらどうなるんだろう。”正常”の範囲に今度こそはいることが出来るんだろうか。そんなことがふと不安になる。あそこの院長にはまりあの脳波まで異常だと言われたんだ。グラフを指差されて。僕はひとりになってから泣きだした。異常ってどういうことなんだ。

もう一度、今日一日なにをしていたのか思い出そうとしてみる。
なんにも浮かばない。僕が今日一日どこかにいたという感じもしない。どこにもいなかったんだろう。そうだ。いなかったんだ。僕は。

03-22-00 WEDNESDAY
それでは最初に10万だけでもすぐ用意できますか?人に借りるのでまだわからないです。そうですか、あえてどこから借りるのかは聞きませんが早めに用意してください。

こういうことはすべて広い範囲でセクハラにはいるんですよ。このケースの場合は相手が実父ということで珍しいケースではあるのですが、、、普通セクハラだと過去の判例を見ても、この程度なんですよね。
セクハラ裁判のマニュアル本みたいなのを見せられた。

マニュアルかよ。弁護士も。

ドメスティックバイオレンスでひとまとめにされるならわかるけど、なんでセクハラでまとめるんだよ。相手が実父で珍しいケースではあるんですが、、でおわりかよ。そこが一番考えなくちゃいけないところじゃないの?相手が他人の男だったら、とっくに逃げ出してるよ。
やる気なさそうにセクハラ裁判のマニュアル本を指差してる。
とにかく金を用意しろという。
その間にも親父からケイタイに電話がはいる。
帰りたくなる。
流れのままにこの弁護士さんと契約をしてお金を払っちゃったけど、今からやめるとどうなるのかな。
それとも、この弁護士さんにちゃんと話すにはどうしたらいいのかな。
一方的に話す弁護士さん。なにが言うべきことでなにを話したらいいのかよくわかんなくて黙ってしまうまりあ。

人々は、汚らしい小さなミイラのように、この世の中に放り出されている。道は血でぬらぬらすべる。しかも、なぜそうでなければならないのか、誰も知らない。行列は出口のサインに向かってひしめいてゆく。やがて大混乱が起り、みんな脂汗をたらして逃げようとする。だから弱き者、助けなき者は泥の中に踏んずけられる。しかも彼らの叫び声は聞こえない。

03-22-00 WEDNESDAY/HISLOR
ヒスローに弁護士さんに振り込まなくちゃいけない費用の話をした。30万必要なんだとだけ言った。明日、振り込まなくちゃいけない。
だけど、何に使うのか、事情をうまく話せなくて、説教された。
ヒスローに怒られながら、なんでこんなことになってるんだろうと思った。

世界はますます腐乱する下水渠のように悪臭を放ちはじめる。
クスリの避難所へ駆け込みよくやく僕らは息をする。

マリアのためにもう一人の自分を殺すヨウタ。その汚い自分を殺しなさいとヨウタにナイフを渡すマリア。もう一人のマリアに会ったヨウタ。「それならまりあももう一人のヨウタに会いに行く」待って、もうひとりのマリアはマリア様だったんだ。それで感動して手を合わせていたら、”もう戻りなさい。むこうに行けば私と同じ名前の女の子がいます”と言われたんだ。戻って来たらマリアがいたんだ。ああ、マリア様ありがとうございます、ありがとうございます。

事情を話して欲しいというヒスロー。話せることじゃないし、心配かけたくないと言うと、悲しいと言った。よけいに心配だよって。
あれからずっと泣いているお母さん。
悲しむ人が増えてしまったんじゃないかと不安になる。
僕ひとりでもじゅうぶん背負っていけたんじゃないかって。

「人々は、汚らしい小さなミイラのように、この世の中に放り出されている。道は血でぬらぬらすべる。しかも、なぜそうでなければならないのか、誰も知らない。行列は出口のサインに向かってひしめいてゆく。やがて大混乱が起り、みんな脂汗をたらして逃げようとする。だから弱き者、助けなき者は泥の中に踏んずけられる。しかも彼らの叫び声は聞こえない。」

03-21-00 TUESDAY
弁護士事務所に行った。親父の奥さんと電話で話した。何事もなかったかのように振舞ってるらしい。あのクソ親父は。僕はあいつを許すことなんてとうてい出来ないだろう。許さなくたっていいこともあるし、許さなくてもいい人間もいるんだ。こんな話でむかし、友達と喧嘩したことがあるけど、「なにもかも許そう」と言い続けたのは僕のほうだった。あの時の僕の気持ちが変わったわけじゃないし、僕はどちらかと言うと、いつだってなんだって許してしまうのだけど、この僕の親父、僕が遺伝子を引き継いだあの親父だけは、どうやっても、気持ち悪いんだ。許さないとか憎いとかそういう気持ちよりただただ吐き気がするんだ。
TK氏が弁護士事務所のところまで一緒に来てくれた。

30万円だって?すぐにでも?振込先のメモを弁護士さんからもらった。
どうやって用意しようか考えていた。DNA鑑定の料金だ。
あんな親父につきまとわれないように行動してるんだ。なんだか困ってばかりに思うけど親父から逃げるためなんだろう。

03-20-00 Monday/ビーチのシュークリーム屋さん
明日、弁護士事務所に行くからって、だからって頑張って書類を揃えてたんだけど、いや、一人でじゃないけど、手伝ってもらってたんだけど、そう、最近、一人じゃなんにもダメで、いろんな人に助けてもらったりして、人は一人じゃないなぁなんて、柄じゃないことを思ったりしてる。いつかは僕も誰かを助けることがあるんだろうか、まるで生きている人間のように。

親父のことなんかに関わってる時間はもうゴミ箱の中に潜って行くような、窒息しそうな時間で、書類をつくりながら僕は、終わったあとで”トリップ”しようと考えていた。そう思いながらなんとか明日までに準備しなくちゃいけないものをまとめた。

僕はそれから、空を飛び、南の島のビーチに辿り着いた。日焼けを心配しちゃうぐらいリアルな真っ白のビーチが目の前に広がって、僕は寝転んで波の音を聞いていた。嫌なことがあるとよく頭の中に大好きなシュークリームを浮かべて、そうやって僕は嫌なことを避けるのだけど、ビーチで太陽を浴びている時、ふと大好きなシュークリームが浮かんで、どうしても食べたくなって、そうしたら砂浜の上のシュークリーム屋さんを見つけて、カスタードクリームの、バニラビーンズいっぱいのシュークリームを注文して、あはは、それをビーチで食べながらいい気分でいた。
みんなみんなこのビーチに来られたらいいのになと思った。
粉っぽいスープを飲んで、吐き気をこらえて、しばらく目を閉じていたらいいんだ。
シュークリームを食べながら、明るい砂浜の上で、僕はそのまま眠りに落ちた。

03-19-00 Sunday
「今まで起こったことをすべて経過順にまとめて書いておいてください」
弁護士さんに言われた通り、お父さんのことをタイプしていたら、汗が、冷や汗が出て来て、気持ち悪くなって、こんな作業がもしも、これから続くならもう出来ないとあきらめそうになっていた。その間にもお父さんからの電話が鳴る。あれから毎日ずっとだ。
散々迷って、電話をかけたらハレタちゃんが来てくれて、僕の切れ切れの記憶をハレタちゃんが慎重に聞きながらタイプしていくという作業をした。どうしようもなく吐き気がしたりして、休憩しながら、だけど二人でなら、最後まで出来た。

あんな親父が2度とまりあに近付かないようにするためなんだ。

狂ったようにひっきりなしに電話をかけてくる親父、もうすぐ僕に電話だってしちゃいけなくなるんだ。

03-18-00 土曜/knife・yota・scream
ヨウタと奇妙な同じ夢を見た。
ヨウタが出てくる変な夢を見てマリアが電話をしたら、ヨウタはちょうど夢にうなされていて、電話の音で飛び起きた。
マリアは、ヨウタにナイフを手渡してヨウタ自身を傷つけるように言ってる夢。
ヨウタは、もう一人の自分を殺すためにナイフを持って2階にあがる夢。
友達も長くやってるといろいろシンクロするよね。ヨウタはこの夢をとても怖がっていたけど、マリアには意味がわかってた。

あそこに警官が立ってるけど、なんのために立っているんだろうと思う。六本木の交差点ではなんのために地下鉄なんか掘ってるんだろうと思う。ケンイチはなんのためにいつまでも電話をかけてくるんだろうと思う。おいしいDINNERを僕らは食べなくちゃいけないのか?いい洋服を僕らは着なくちゃいけないのか?穴を掘ること、マイクに向かって擦り切れてしまったセリフをいつまでもしゃべり続けること、間接照明、絵や陶芸やあらゆる芸術と呼ばれるもの。それらすべてを捨て去ってしまえ。目も口も耳も。

03-17-00 FRIDAY
昼間とか夕方とか、着替えをとりに部屋に帰る。
ドアベルが鳴る。ドキドキする。友達が部屋に来てる時は平気。だけどドアに手紙が挟まれていたりする。
ひとりで遠くに行きたくなる。
南の島は幻覚じゃなくて本当の話だったのか。僕は”トリップ”さえできればなんでもいいと思っていたけど、ホントウの話だった。本当にどこかの暖かい島に行ってしまえば、それがまた現実になっちゃうんじゃないかと思ったから。
必要なのは現実を見るチカラか。
僕は川。海の潮。すごいスピードの風。変化していって、流れていって、だけどまた戻ってくる、こともある、かもしれない。
誰かに電話で言われたこと。誰に言われたのか思い出せないのがおかしい。
「だけど、僕(私?)がいつも会ってるのは、まりあちゃんだよね」
ううん、君は一度だってまりあになんか会ってないんだ。
「そうだよ。まりあだよ。」
先生から電話。きなさい。はい。
03-16-00 THURSDAY
03-15-00 水曜日/診断書2
また、先生が、まりあじゃなくて他の人格を呼び出して他の人と話したがったらどうしようとか、
多重人格障害という、自分では、できれば目をそらしていたい自分のこと、その話に触れなくちゃいけないことか、
こわくて、朝になっても、昼になっても、なんにも出来ないでいた。

弁護士さんに言われたものをこうやって揃えなくちゃいけない。
だから先生に会いにいかなくちゃいけない。
人格がどうとか、まりあが主人格じゃないとか、そういう話から遠ざかっていたいのに。

今日行くって約束したんだから、行かなくちゃ。
月曜日はゴウさんもハレタちゃんも傍にいたから、先生に電話できたけど、約束の今日になって、会いに行くのがすごくこわい。
まりあを12重人格障害と診断した先生。

もうそろそろでなくちゃ、でもどうしよう。

もしもし?TK? まりあ?どうしたの? げんき? まあ元気だよ。 今日なにしてるの? 今からコーヒー飲んで、少ししたらでかけるところだよ。 そう、それは、もうすぐ行くの? ううん、まだ大丈夫だよ。 そう。 どうしたの?まだお話できるよ? それは夕方からじゃなくて、もうすぐ行く用事なの?  んー?どうした?なにかあるなら予定あけるよ。 町沢先生のところに行かなくちゃならないの。 わかった、じゃあ、でる時また電話して。待ってるから。
いっぱい話さなくてもわかってくれてよかったと思った。それでも不安はいっぱいだったけど、なんとか行ける。

14時30分。町沢先生と会う。
先生は何度かまりあのお母さんに電話をかけてたと言う。人格交代の頻度について聞かれる。嵐士のことを先生が話す。まりあのあの曲と嵐士のあの歌の話になる。そういう話題から遠ざかろうと試してみる。お父さんのことを話す。今も追いかけられてること。
多重人格障害は解離性同一性障害と名前を変えたと教えてもらう。
「多重人格障害というと、人格障害かと間違われちゃうでしょう?多重人格が障害なわけで、人格障害とは違うんだからね。人格に問題があると思われちゃう。」
診断書をもらう。
”〜トラウマは父のrapeであり、この父によって上記障害を生じた。”
いつでも研究所のほうに来なさい、はい。

弁護士さんに言われて今週揃えなくちゃいけないものはそろった。
TK氏と食事をして、早く眠りについた。

03-14-00 火曜日/診断書
「精子が、精子がとりだされたって書けばいいんだね」

「だから、精子がでたってことでいいんだよね?」

涙がじわってでてきて、帰りたくなるのをこらえて、先生の前に座っていた。
弁護士さんに言われたから、前にゴウさんとモトちゃんと来た病院に行って、その日の診断書をもらってこなくちゃならなかった。
先生の顔がゆがむ、景色がぐるぐるまわる。だけど診断書をもらわなくちゃいけないんだよね?なんのためだっけ。こんなの。こんなの。こんなこと話すの。言われるの。
ヒスローについてきてもらってよかった。
適当な理由を言ってヒスローに運転してもらって来たけど、帰り道ヒスローがいたから、泣かないでいられた。

お父さんから、毎日毎日、夜になるとひっきりなしの電話が鳴りっぱなし。
これで吐き気がするのを、ノイローゼと言うんだろうか。

いやらしいルスロク、かと思えば、逆ギレしてるルスロク、泣いたり、謝ってみたり、会いたいと叫んでみたり。
まりあが、意志を持って、とうとう逃げたことで、あいつが今どうなってるかなんて考えたくもない。
もう2週間たつはず、電話、電話、電話。

今日は、世田ヶ谷でお風呂にいれてもらって、
”ああ、このまま毎日好きな本を読んで、好きな本を書いて、それでもうそんなにからだにワルイこともしないで、お風呂にはいって、友達と、猫と犬と、時々僕はギターをひいて歌って、時々ヒスローはアメ車にみんなを乗せて走り、時々エイミーは絵を描いてくれて、そうやって過ごせたらいいな”
と思いながらあたたまった。

お風呂のあとも、ずっと電話が鳴っていた。
携帯の音を切ってたら、友達からの電話に気づかなかった。

03-13-00 月曜日/霞ヶ関
部屋に帰らないで、結構経つ。
最初はいろんな友達のところを泊まり歩いていたけど、近頃、だいたい仲良しの友達のところ2、3箇所にまりあの行く先は決まってきた。
屋根裏のある家、お風呂が気持ちいい家、猫がいる家。
友達は、理由なんか知らなくても、まりあがなにか困ってるらしいと察知してただ泊めてくれる。
着替えとか、不自由もあるけど、うっかり帰って、お父さんに捕まるよりはいいんだろう。 

ゴウさんとハレタちゃんと待ち合わせて、霞ヶ関。
弁護士さんとこれからの展開方法の話と、まりあがしなくちゃいけないことを聞いた。

03-12-00 日曜日
03-11-00 土曜日/リアル
僕たちは夢をみることをまずやめるべきだ。

Los Angelsに住んでいた時、なにより気持ち悪かったものは、彼らが口にするAmerican Dreamだった。

どんな芸術も新たに創造されるべきじゃないんだ。
創作されるものが僕は大嫌いだ。

街、戦争、瞳、残された地雷

必要なのは現実から目をそらさないちからだ。

03-10-00 金曜日/僕たちに出来る最善のこと
ユウヤくんのスタジオに行ったら、まりあ用のふとん一組が置いてあった。
泊まったりして、そこでそのまま曲をつくったりできるように。そういうこと。

いつもひとりきりで曲をかくから、
できるかな、と思ったけど
やってみるんだ。

ユウヤくん、まりあは、いろんなものに興味がなくなってしまったんだ。
17になった頃にはもう片目を閉じたままでいた。
まりあのからだじゅう、どこを点検して回っても、
この社会への興味がなかなか見当たらない。
どうでもいいんだ。
誰かが泣いているのを見たくないだけなんだ。

細い目をした政治家
ぜい肉でぶよぶよしたお腹
へらへらした警官
権力は正義だとコマーシャルするテレビ
会議室でうまれた流行
「頑張ろう」なんて言ってるやつを見ると、吐き気がする。

頑張って君はいったいどこへ行くの?

君が本当に欲しいものはそれなの?

僕たちにできる最善のことは、

できるだけ、この社会と関わりを持たずにいることだよ。

親父から、また真っ赤な手紙。
吐きそうなくらいいやらしい手紙
あいつが娘を想って毎日書いてるらしいノートのページ
日付けごとにバラバラな「反省」と、「もう一度会ってくれ」
「お父さんを殺してくれ」

もう殺す気もない。

03-09-00 木曜日
T.K氏が夕食をごちそうしてくれた!
GBのbarは春にはなくなるって、T.K氏に言うのを忘れた。

お父さんが、バカみたいに、一日中、電話をかけてくる。
無言電話だったり、わんこーるだったり、
着信履歴びっしり。
次にゴウさんやハレタちゃんに弁護士さんのところに連れていってもらうまで、 もう少しだけど、イタ電とは結構疲れるものだと思った。 

03-08-00 水曜日
ヒスローが長良川へ連れて行ってくれた。
雪が降ってた。
助手席で寝てて、
ずいぶん走ったと思って、目がさめたら 
日本の中で、どんなに走っても、日本なんだなと思った。

Lillieの実家に行く時、教えてもらった道順通りにフリーウエイを走っていたつもりが、いつのまにか国境まで来てしまって、あやうくメキシコに入っちゃうところだった。
そんなことを思い出してた。

雪が降っていて、みそ煮込みうどんを食べて、帰った。

お父さんが便せんどっさり、書いた手紙を送ってきた。
気の狂った内容だった。
ヒスローが、真っ赤な手紙送ってくることじたい気が狂ってるよ、と言った。
手紙は、全部赤いペンで書かれていて、びんせんが真っ赤だった。

03-07-00 火曜日
ギターを弾いて、ギターを弾いて、うまく、まとまらない歌をずっと散らかして、散らかしてた。

この先、5年後に、50年後に、僕が僕の散らかしてきた日々を決して後悔しないだろうか。
そんなことわからない。

だけど、後悔してもいいんだ。先のことなんて考えなくていいんだ。
とめらんない、感情はとめらんない、未来を心配する必要はないんだ。

なぜだかわかるかい。

いつまでたっても振り返らなければいいだけなんだ。

観念と生きることの違いが誰にわかるだろうか。

03-06-00 月曜日
医者のところまで行って、MMLがなくなってないのを確かめて帰ってきた。 
03-05-00 日曜日
03-04-00 土曜日
03-03-00 金曜日/ゴウさんとハレタちゃん/霞ヶ関
ゴウさんとハレタちゃんが弁護士さんのところに連れていってくれた。
だけど、そんな見知らぬ”弁護士”ですっていう人に会って、何を話したらいいんだろうと思っていた。
ゴウさんは、これにメモをとりながら話し合いをするといいよとノートとペンを渡してくれた。ハレタちゃんは、まりあがちゃんと話せるようにって、ノートに今日までのことをまとめて書いてくれた。

とにかく相談だけでもしてみたらって、うん、どうしたらいいのか、ちゃんと聞いてみるねって、それで霞ヶ関まで来たんだけど。

朝早くて、まりあも寝不足だったけど、ゴウさんは徹夜で、ハレタちゃんもちょっとしか寝てなかった。

弁護士さんに、話す時、話しはじめるまでに、すごく時間がかかったけど、よくわかってくれたように思う。 
PTSD?だっけ、なんだか、そういう話を弁護士さんがしていた。
ゴウさん達に言われていたから、まりあの多重人格障害の診断のことも話した。
このことを話さなくちゃいけないよって、言われていたけど、でも言いたくなくて、ずっと最後まで言わなかった。
診断をした医者が、”父親の性的虐待が原因”と書いていたから、まりあの障害の話もしなくちゃなんないのはわかった。
弁護士さんは、その医者と連絡をとるように言った。

ゴウさんとハレタちゃんは、待合室で待っていて、よい弁護士さんでありますようにってすごく心配していたみたい。大丈夫だったよって言った。今度は13日。
これで少し、方向が見えたんじゃないかな、ゴウさんが言った。

もう父親に会うこともないだろう、同時に父親という存在もあきらめたことになる、だけど、父親が死んでしまっていない場合があるってヨウタの言葉で気がついた、そう思えばいいんだと思った。

ある日、

お父さんと会ったあとのある日、

吐き気がまた、何日もとまらなくて、

気が狂いそうで、

クスリがいるのか、アルコールがいるのか、ギターがいるのか、なにが必要なのか、呼吸もできないでいた夜、

あるinternet chatにつないで、

ただひたすら、自分のこと、親父のこと、苦しいこと、殺したいこと、気が狂ってること、なんでも、ぶちまけた。

ただ、それだけで、あの時は、またどこかにでかけて死ぬ程飲んで、夜を明かすつもりだった。

そこから始まった。

モニタの向こうの知らなかった人達が教えてくれたこと。

ひとりじゃないってこと。 

03-02-00 木曜日/異母弟ユウくん
つまり、弟から聞いた話で、僕は本当に、気狂い相手の長い裁判なんかを思い浮かべて一気に疲れてしまった。
弟が「お母さんから聞いたんだけど」と言って話してくれたのは、今度は、お父さんは、そういう事実はあったけど、まりあにお願いされてしていたんだと言い始めたそうだった。

なんのために、めちゃくちゃな嘘を言って、なにを守ろうとしているんだろう。
人が嘘をついてまで守るものっていつも、ほんとうにくだらないものだ。

「それから、お母さんが、心配していたんだけど」
弟の説明によると、弟のオツトメしているお寺は”日蓮正宗”というところで、そのお寺は”創価学会”というところと仲が悪くて、ソウカガッカイの新聞にはいつもニチレンショウシュウの悪口を書かれていて、ソウカガッカイの人は、ニチレンショウシュウのお坊さんを尾行して、お坊さんが怪しいお店に入るような現場の写真をスクープしてはソウカガッカイの新聞にだしている----弟の話によると----ヒドイ人達で、それで、もしもこのことがソウカガッカイに知れたら、きっと新聞にかかれる、”お坊さんのお父さんがこんなことをしている”それによって、弟のお坊さんとしての立場とか、そういうことをお父さんの奥さん、ユウくんのお母さんチヒロさんは心配しているということだった。
僕が、初めて弟のお寺に行った時に、ロビー(?)にやたらと、ソウカガッカイを叩くようなはり紙がいっぱいしてあったのが目について、これはなんだろう?と思ってたいのを思い出した。
僕は、別にいいんだけどね、、、でも、もし新聞に書かれたら悲しいし、それでお寺に迷惑がかかったら、、と思って、、
そうやってユウくんが、下から僕を見上げた時の顔がすごくいやだと思った。

ユウくん、僕は、ニチレンショウシュウもソウカガッカイのこともよくわからないのだけど、だけど、もしもその新聞にこのことが書かれたとしてもだよ、ユウクん、新聞にスキャンダルが書かれたってことが悲しいんじゃなくて、本当に悲しむべきことは、そのスキャンダルが全部本当だってことじゃないのかな。
僕たちのお父さんがこういう人間だということを問題にすべきで、今、そのふたつのお寺の闘争についてよりも、先に考えなくちゃいけないことがあるんじゃないのかな。

ユウくんは、うん、うん、僕は別にいいんだけど、ただ母さんが心配してたから、と言った。

B.Tについてきてもらって、着替えをとりに行って、また友達のところに泊まった。
また夜中ずっとお父さんから電話が鳴っていた。寝る時に音を切った。

03-01-00 水曜日/ユウヤくん
ユウヤくんと会う約束で、3時にGBに行った。
バーのイガラシさんが、これT・K氏から、ってメモをくれた。
何かまりあに一杯おごってやってくれと、イガラシさんにお金を置いていったらしい。
嬉しく思って、しばらくメモを見つめてから、grass hopperを頼んだ。

「曲づくりとかさ、すすめたいいんだよね。」
ユウヤくんが、来てくれてよかったのは、音楽の話が出来たことだ。
ユウヤくんのスタジオにしばらく合宿して、新しい曲をどんどんつくろうと言う話をしにユウヤくんは来てくれた。
曲づくりの話で、頭が、だんだん元気になってくるのがわかる。

ユウヤくんといる間にも、親父から電話がはいる。昨日からずっとだ。
頼む、最後にもう一度信じてくれ、お父さんに会ってくれ、お願いだ。
まだ同じことを言ってる。
まりあが来ても来てくれなくても、お父さんんは、待ってるから。浅草の駅の交番の裏にいるから、待ってるから。
ユウヤくんとの話が中断して、途中10分くらいお父さんとそんなやりとりをする。
しばらくして、勝手にどこかで待ってるらしく、また何度も電話がくる。
もうでない。

そうか、そうだね、ユウヤくん、まりあもしばらくスタジオに泊まって、集中して曲づくりしたほうがいいと思う。そうするよ。
今、片付けなくちゃいけない問題があって、それが少しメドがついたら、行くから。

お母さんが心配で、ちょくちょく電話をいれる。
お母さんは、ずっと泣いていて、どうして一番にお母さんに話してくれなかったのと言って、また泣いて、
まりあが、そんなふうにお母さんが、お父さんのことで、苦しむのが嫌だったんだよと言って、でも、やっぱり、お母さんが、本当にまりあの味方なんだと思ったよと、言って、
当たり前でしょう、何があっても最後まで絶対子供を守るのが親でしょう、と言って、お母さんは泣いていて、心配だから、まりあも少し元気なふりでもしなくちゃいけないと思った。
まりあは、もう大丈夫だから、今はみんな助けてくれる人がまわりにいてね、すごいいろんなこと調べてくれてるの、あんなやつのために泣くことないよ、お母さん、大丈夫だから、ちゃんとするから、
あんな人間、危険人物として、隔離してもらわなくちゃいけない、本当に、まりあまで、そんな目にあうなんて、本当に悔しい、といって、お母さんは泣いて、お母さんは泣いて。
今日、何度も今から会いたいって電話きたんだよ。それで勝手に待ってるからって、浅草に来てって、でも行ってないよ。絶対に行っちゃだめよ。うん、行かないよ。あのね、泣き落としとか、もう反省したとか、いろいろ言うでしょう?あの男は、20年前から同じこと言ってるの、なんにも変わってないのよ、いい?もしもあなたが、友達と一緒なら平気かと思って、あいつが待ってるところに行くでしょう、それで帰ってきたとするでしょう?あいつは、絶対あなたのあとつけてるのよ、尾行してあなたの居場所をつきとめて、そうしたら、何日でもあなたが部屋から、ひとりで出てくるまで見張ってるようなやつなのよ、絶対に絶対に接触しちゃだめよ、今日から、部屋に帰ってもダメ、本当に殺されるわよ。
また少し、過去に何があったのか話してもらった。
それで、本当に怖くなって、しばらく部屋に帰らないことにした。お母さんにもそう言って安心してもらった。見つかったら絶対ひどい目にあわされるか、殺されるとお母さんは言う。「そういうことが何度もあったんだから」

弟ユウくんから、明日お姉ちゃんに会いたいんだけどと電話がきた。
3時50分にお寺に迎えにきてくれる?と言われて、了解して切ったけど、 こんなに頻繁に会いたいと言われるのは、ちょっとうざったいなと思った。
今は、もうつくり笑顔もしたくないし、はっきりしない笑顔も見ていたくない。
明日で最後にして、次回から断ろうと思った。

寝る前に、まりあのマンションに誰かいるかと思って、電話してみた。友達がでた。2人でいるらしかった。
もしかしたら、まりあのお父さんって人がくるかもしれないから、と言うと、なに?来たらボコボコにしとけばいいの?あはは、いいけど、とりあえず、ドア開けないで無視しといて。わかった、まりあ、今日部屋帰らないの?うん、しばらく帰らないかもしれない、勝手に使ってていいけど、戸締まりちゃんとしてね。おーけー。

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